数枚の写真とともに見つかった三冊の手記が、大庭葉蔵の人生を語る。子どものころの彼は、他人のことが何もわからず、こわくてたまらなかった。誰にも見抜かれないよう、彼はお道化を演じ、みんなが笑う。東京で学生になった彼は、少しずつ酒と女に溺れていき、どこにも自分の居場所を見つけられない。
作者の太宰治は、亡くなる少し前にこの小説を書きあげた。日本でもっとも読まれている本のひとつであり、受け入れてもらうために役を演じるというこの気持ちに、多くの読者が自分の姿を見る。
葉蔵がやさしい言葉で心のうちを打ち明けるこの本は、学習中の言語でひと息に読める。



















